2011年5月4日水曜日

フロイドローズの調整方法(mixi2009.7.30日記より転載)

長年、私もフロイドローズ・トレモロユニットの調整、弦の張り替えやチューニングなどに苦しまされてきました。なにせブリッジが浮いている状態な訳で、 チューニングひとつとっても、「この弦を上げれば他の弦が下がる」てな具合で始末が悪い。アームを派手に使うとチューニングが狂う。などなど。

しかしフロイド(FRT)でのアームアクションはシンクロナイズド・トレモロのそれとは比べ物にならないくらい効果的(もちろんシンクロも独自 の味がありますが)。やはりフロイドだな、と、現在のメインギターはもちろんFRT。ならば徹底的に調整をしてやろうと、ネットで検索したり、人に聞いた り、雑誌を読んだり。。。色んなやり方を試してみて最近ようやく行き着いた感がある。

私と同じようにFRTの調整に苦しんでいる人も多いようなので、今回は私流のFRT調整法を紹介しようと思う。


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まず弦を外し、ロックナットを外します。

  背面のトレモロスプリングのカバーを外し、トレモロスプリングを外します。

そうするとフロイドローズのブリッジ本体が外れますね。

フロイドローズの動作を軽くする為、またアクション後のチューニング安定の為、支点(フロイドローズ本体とアンカースタッド、2本の柱ですね)が接する部分をヤスリなどで整えて鋭利にします。まさに点で接するように。形が変わる程に削るとマズイので慎重に。




また、スタッドボルトがガタついていると、それもチュ−ニングが不安定になったり、アームアクションがおかしくなったり、また音質も悪くなったりするので、ガタつきをおさえる為にスタッドボルトのネジ部分に木工用ボンドを少しつける。


フロイドブリッジ本体を仮にボディーに合わせて、ボディーとのフローティング量を決めます。


この時、裏面のブリッジのトレモロブロックとボディーの間の隙間がどれだけあるか物差しなどで計測してください。その寸法(厚み)と同じブロック状のもの を作ります。木を切って作ってもいいし、私みたいに樹脂のプレートを何枚か合わせたもので作ってもいいと思います。このブロックは非常に重要な道具となり ます。ブロックはボディーに差し込んだ時にあまり出っ張らない程度の大きさにしてください。最後にスプリングの調整をブロックを差した状態で行うためで す。


ブロックをボディー裏の隙間に入れます。

これでブリッジの正常時の傾き加減が決まりました。

この状態で弦を張り始めます。

私の場合はポールエンドをペグ側にします。ペグの穴から弦を差してブリッジ側で長さをみて余分を切り落とします。


一本でも弦を張ればブリッジはヘッド側に引っ張られ、ブロックで決めた位置で固定されます。


6本、全ての弦を張ります。


ヘッドのテンション・バーの高さを調整します。
私はロックナットの場合、テンション・バーはテンションの強弱を調整するものだと思っていません。テンションはブリッジの弦高調整で低くすれば弱くなりますし、背面のトレモロスプリングの本数や種類でも変わると思います。
ではテンション・バーはどう高さを決めるのか?ロックナットを外していてもロックナット本体と弦がぴったりとくっついている状態が正解です。こ れが浮いていると、ロックナットを締めた時にチューニングが上がってしまいます。ロックナットを外していても締めた後でもチューニングが変わらないように するのが重要です。



この状態ですべての弦を完璧にチューニングします。

チューニングしては弦を伸ばしてください。指板から2〜3cmは引っ張れます。この時、切れるような弦は信用できませんのであきらめてください。引っ張ると弦が伸びてチューニングが下がります。下がらなくなるまで伸ばして、チューニングしてを繰り返します。

この時、オクターブチューニングも完璧にしておいてください(やり方は各自、調べてください)。オクターブチューニングというと12Fのハーモニクスで調 整する人が結構いますが、私は12Fを指で押さえた音で調整します。なぜならハーモニクスよりも、フレットを押さえて出す音のほうがはるかに使用頻度が高 いからです。これは若干の差があるので一度試してみてください。

ばっちりチューニングができたらこの状態で少し弾いてみてください。奇麗に音が出るはずです。この時点で弦高調整(FRTの場合アンカースタッド2本で調整)して、弾き具合やビビらないかを確認してください。もちろんその都度チューニングは正確にしてください。


トレモロスプリングをすごくゆるい状態でかけて、少しづつビスを締めてバネをキツくしていきます。2本のビスを均等に少しづつ締めて行くとブロックと逆方 向にブリッジが引っ張られていきます。ブロックが力を入れなくとも「スッ」と外れるところが、弦とスプリングの力のバランスが整った場所です(ブロックを 入れたり外したりしてもブリッジが動かない状態)。ブロックで決めたブリッジのフローティング角度(傾き)になっていると思います。
ブロックは外して大事に保管してください。ギターを数本もっている場合は「このギターの調整用ブロック」とわかるように書いておくといいと思います。

スプリングはアームアクションの力加減に合わせてお好みで。私はハードスプリングというものを2本、一番外側にまっすぐかけています。

ロックナットを締めてください。この時、締めたあとでチューニングは上がらないと思います。この為のテンション・バーの高さ調整だった訳です。


最後に背面のトレモロスプリング・カバーをしてください。私は昔、トレモロブロックがカバーに当たっていていやだったので外していたのですが、ライブで弾いていると自分の身体がトレモロブロックに当たって音程が狂うので、カバーを加工して付けるようになりました。 




以上です。最初は面倒くさいかもしれませんが、ブロックを使わない時と比べて私はすごく楽です。チューニングも短時間でできますし(いつまで たってもチューニングが終わらないよ〜ってことがなくなりました)。弦の種類を変えないのならば、例えば2ヶ月にいっぺんはこの方法で調整する。とか決め るといいと思います。

普段はブロックを使わずに弦を張り替える方法もあります。
まずすべての弦のチューニングを正確にしてから、1弦を張り替えます。そして張り替えた1弦を伸ばしてはチューニングをして伸びなくなるまでチュ −ニングします。1弦が完璧に張り替え・チューニングできた時点で他の2〜6弦のチューニングは狂っていないはずです。これは古い外した1弦と新しく張っ た1弦の引っ張る力が同じだからです。
1弦がおわったら2弦。。。と、一本づつ交換、チューニングしていけばうまくいくと思います。この場合、1弦から交換するのが良いと思います。いきなり6弦を外したり張ったりすると大きなテンションの変化が起こり、ネックなどにあまり良くないと思うからです。




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以上。私なりに考えて行き着いたやり方なので、みなさんの中には他の方法の方もいらっしゃると思います。もっとこうすると良かったよ!とか、意見とかあればコメントで教えてくださいね。

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