以前はYAMAHAの「MU1000」、ここ最近はEASTWESTの「GOLIATH」でベースを鳴らしていた。更に以前は実際に本物のベースを弾いて録音していた時代もありましたが...さすがにベーシストのようにはうまく弾けないし、なにより弾くことによって自分の体力と精神力が消耗すると他の作業に影響する。ならば打ち込みならデータも直せるし、音色も後で変更できるし。
しかし、悲しいかな本物のベースと同じように鳴るように打ち込むのは無理。近づけるべく打ち込みのテクニックを駆使する必要はある。
例えばスライド、グリス、ハンマリング&プリングはベンド情報を書き込んだりベンドスティックで入力したりで表現したり。
ベロシティ(強さ)とデュレーション(長さ)でスタッカートやレガートを表現したり。スラップベースの音に似せてみたり。
ゴーストノート(ギターで言うところの「カラピック」)をデュレーションを極端に短くしてベロシティ強めで表現したり。
「GOLIATH」のベース音源もなかなかいい音で、気に入っているのは「Fender5StrFinger」や「Stingray」なのだが、曲中で他の楽器と一緒に鳴っている時は(上記の打ち込みテクのおかげで)気にならないものの、他の楽器がブレイクした時にベースがソロ状態になるとさすがに厳しいし、特にワイドなグリッサンドなんかはとても入れる気にはならない。だからベースのフレーズをアレンジする時は打ち込みで再現できるのか?と言う点で考えさせられることも多い。フュージョンなどでスラップ奏法でのベースソロなんてのはもう耐えられないのだ。よほどエフェクトかけたりしてごまかさないとならない。
そこで「ベース音源」ならコレしかない!という声も多い、評判の良いTrilianを購入した訳だ。前置き長い?あっそう。ちなみにTrilianが届いたのが3日前、まだ把握していない部分ももちろん多いが...
じゃあ早速、俺が持っている(使ってきた)各音源での比較をしてみようと思う。
まずTrilianでなにが他の音源と違うのかと言えば、様々な奏法やニュアンスの違いがベロシティの強弱で自動に表現されたり、アーティキュレーション・スイッチ(スイッチ・キー)つまり発音しない音域の鍵盤を押さえたりそのノート情報を入力したりすることで 表現できるということ。
アーテキュレーション・スイッチは発音する音と同時(もしくはその前)に、発音しない鍵盤を押すと違う音に変化する。Trilianの場合は
E1 グリスアップ
F1 スライドダウン
F#1 スライドアップ
G1 スライドアップダウン
G#1 ハーモニクス
A1 スタッカート
A#1 X−ノート
と、なっている。
動画にシーケンスソフトが走る様子が見えるので、ピアノロールの下の方にノートが入力されているのがそれだ。例えば一小節目4拍目のD2の音は同時にスライドアップダウンのG1を入力してあるので、音が上がってすぐ下がる。他の音源ではベンドで上げ下げしていた効果だが、ちゃんと実際のベースをベーシストがグリスアップダウンした音をサンプリングした音が再生されるので、非常にリアルだ。ノイズまでもちろん鳴るわけだ。
ベロシティでの音の変化は4〜5小節目で、ベロシティ15〜125まで弱から強に変化させてます。音の強弱で音自体が変わっているのがわかると思います。
6小節目、スラップで言う所の高音プルの音。三回出てきますが、一回目はベロシティ最大値の127はかってにシャクリ上げします(ハンマリング?スライドアップ)。これが便利と言えば便利、くせ者と言えばくせ者。ちなみに126でもシャクリ上げます。だからシャクリ上げしたくないなら最大値はベロシティ125です。二回目の音はベンドアップで、三回目はノート自体を上げて(二つ目の音のベロシティを弱めに) して、三回ともにシャクリ上げ音をそれぞれ違う方法で入力してみました。
7小節目のX-ノート(カラピック)音ですが、最初の2拍は通常よくやるデュレーション1で。3〜4拍はTrilianのアーティキュレーション「X-Note」で。音に違いがあります。
8小節目と9小節目3〜4拍目、ハンマリング&プリングを入れてみました。Trilianの場合、最初のノート鍵盤を押さえつつ、半〜1音上また下の鍵盤を押したり話したりするだけでハンマリング&プリングの音になります。もちろん同じ要領でトリルもできる。この機能が一番素晴らしいと思いました。
10小節目、いわゆる8ビート連打です。Trilianは連打すると一音づつサンプル音を違うもので再生する「ラウンドロビン」という機能を使っているそうです。11小節目は同じく8ビート連打なのですが 、ダンパーペダルを使って再現してます。他の音源だとダンパーペダルだとうまくいかないところ、Triliannではダンパーを踏んでいる間に音を移動していっても音が濁らない。単音だけ鳴るんです。これも便利な機能。
12小節目、今度はハーモニクスを鳴らしてみました。アーティキュレーションです。
14小節目と15小節目。やはりX-ノートを従来方式とTrilianアーティキュレーションで使い分けてみました。
16小節目。8分音符をスタッカートで。17小節目はアーティキュレーションでスタッカートを鳴らしてみました。若干音が違います。
どうでしょうか?かなりリアルだと思います。
しかしアーテキュレーションを発動できる音色(Fullrange)は、膨大な音色種類の多さ(エレキベース、ウッドベース、シンセベース)の中の全てでできる訳ではない。もちろん少ない訳でもないけど、有料の拡張音源でもいいから好みの音を追加できるようにしてもらいたいと思う。
グリッサンドやスライドなどは移動する量や時間などは決まっているようで、それも理解した上で打ち込めば効果的にフレーズを作れる 。が、短い音符の中でそれをしようとすると音が上がり切らなかったり下がり切らなかったりで変な音程で鳴ってしまう。
それとやはりベロシティ最大値127でシャクリ上げてしまうのは、意図しないところでおきてしまいそうで嫌だ。
アーティキュレーションスイッチは慣れればリアルタイムでシーケンスを走らせながら色んなことはできそうだが、やはり録音するならベロシティの調整も含めて、打ち込んだデータの修正は細かく必要だと思う。
「GOLIATH」のStingrayベースで再生してみる。MIDI打ち込みデータはTrilianと同じではアーティキュレーションが再生できないので、今までの手法でなるべく同じように再現できるように修正してあります。
そして「MU1000」のHrdPikRsベース。
ちなみに上二つの音と同じMIDIデータ(つまりアーティキュレーションをつかわず、従来からの打ち込み方法)でTrilianの音を再生してみる。
価格も今、2万円くらいだし、ウッドベースやシンセベースの音も欲しい!使いたい!という人にはおすすめ。特にウッドベースはまたリアル。
ただ、すべての人に必要な音源なのか?と聞かれればYesとは答えないと思う。
例えばGOLIATHのベース音源だって悪くなかった。他の楽器、ギターやシンセ、歌などと一緒に再生していればほとんど気にならない。
ただ、自分が作る音楽によって、たとえばリアルなベースでなければならない理由があるならば、そしてウッドベースやシンセベースも使う人ならば、Trilianは間違いはないと思う。でもロックとかポップスしか俺はやらないんだよ、という人は他の音源でも、というか他の音源のほうがいいかもしれない。たとえばハードなロックしかやらないならロック系の音源は別にあるので(ドラムやギター音源も入っているものとか)。そのほうが最初から使える音のプリセットが入っているし。
プリセット音がそのまま使えるというのはすごく有利だと思う。ストレスが少なくなるし、Trilianや俺が使っているドラム音源BFD2などは音はリアルだけど音源内のエフェクトやEQ、コンプ、またはDAWで音を作り込んでいくものだと思うから、正直大変です。だからドラムならそのまま使えるよというプリセットが入っているEZdrumerとかAddictive drumが良かったりする。ジャンル別の拡張音源も売ってるし。わかりやすい。
だからやる音楽がはっきりしているか、それとも今もしくは将来に幅広い音楽をやるのかで選択肢は変わると思う。
色んなところでベタ褒めのTrilian。確かに素晴らしいが、手放しですべてが最高というのはありえないし。一番ありえないのは、マニュアルが存在しないらしい、と言う事だろう(笑)もう発売してからだいぶ経っているはずだから、期待はできないっすね。
まぁまだ使い始めたばかりなので、これからいじくって、また何かあればブログにて報告します。
以上、音楽仲間の一人から熱望されたTrilianのリポートでした。 現場は以上です。スタジオの武内さーん!
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